The Things Not Seen Are Eternal

生涯を通して取り組んできた建築家の仕事を引退後、新たに写真家として活動を始めたHerman Ellis Dyal (ハーマン・エリス・ディアル)が、アメリカ・テキサス州のサン・アントニオから程近い場所に位置するリバーサイドバプテスト教会の内部空間を撮影した作品をまとめた一冊。
幼少期の頃、礼拝のためにこの教会を週末に家族で訪れていた作者は、余暇の時間ができたことからふと50年ぶりにこの教会に足を踏み入れて、経年劣化は進んでいるものの当時の面影が残る空間に懐かしさを覚えると同時に、この建物の内部に差し込む光の高い質に驚かされた。本書にはこの出来事をきっかけに幾度も通ってデジタルとフィルムで撮影した作品が収められており、建築に長らく携わってきたからこその空間や構造を熟知した巧みな構図で、それぞれの空間の雰囲気まで見事に捉えられている。
また巻末ではこの教会のアーカイブ写真も合わせて掲載しており、現在は数十人のみながら、最盛期には2000人ものメンバーが所属していた当時の様子も合わせて窺い知ることができる。
メンバーの減少とともに使用用途を失って放置された部屋で堆積された時間の重みを感じる一冊。

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