DISPOSABLES

ファッションを中心に、音楽やアート、写真について取り上げ、日本をはじめ世界において強い影響力を持つウェブサイト「TOKYO DANDY」を立ち上げた一人であるDan Bailey（ダン・ベイリー）が、日本文化を深掘りする中で出会った場面や、次第に感じ始めた国民意識、そして東日本大震災と福島第一原発での事故をきっかけに芽生えた国家と個人の関係性に対する関心を通じて、ベイリーの目に留まった様々な事象をまとめた一冊。 数百年にわたって継承されてきた祭事の様子や、長崎県に残る戦争遺構、そして原宿を中心としたサブカルチャーをはじめ、都内のパーティーやクラブでのワンシーンと、ベイリーが自身の日常生活の中で撮影したものをまとめた本作では、記録手段にあえて使い捨てのフィルムカメラを採用することで日本独自の美意識や精神性の一つである「もののあわれ」や「はかなさ」が示されており、一部の写真については江戸時代の浮世絵師・歌川広重が1856年から58年にかけて制作した連作『名所江戸百景』と同一の場所で撮影に取り組んだ。 さらに掲載されている写真の点数は『名所江戸百景』に収録の風景画の点数・119点になぞらえられており、ベイリーの日本文化とその歴史に対する愛おしさや深い洞察の眼差しが宿っている。

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