日々草

写真を用いたコラージュをもとに、時間や空間、記憶の狭間に茫洋と浮かぶイメージを捉え、絵画へ描き起こす若林菜穂による印刷物としては初となるアーティストブック。 主に絵画の下図として、日常や旅先で撮り溜めたスナップ写真を印刷したものやカラーペーパー等を用いたコラージュを制作し、そのコラージュをもとに、印刷物としてのざらつきやスクリーン上でのデジタルな明度や解像度、さらには記憶を調合しながら、あくまで一枚の絵画へとイメージを統合して描き出す。 今回発行するアーティストブック『日々草』は、若林のコラージュの取り組みを本の形式で発表したもの。手作りのコラージュブックも幾度か制作していたが、本書はテキストを中心に構成されている。不可思議でありながらどこかで見たことのあるようなイメージと、日々の断片のような作家の文章とがスライドのように交錯し、時系列に刻まれるコラージュのように、画と言葉とが網膜や記憶を通して結ばれる。

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