Down by the River

ファッションや人物撮影を中心に、ベルギー・アントワープを拠点に活動を行うフォトグラファー・Charlie De Keersmaeckerが、アントワープ市の近くを流れる「エスコー川」で涼を得る若者らの姿を白黒で捉えた作品集。この中に登場する若者らは、休息の時間を過ごしているにも関わらず、どこか陰のある物憂げな表情を浮かべており、その雰囲気から、アメリカ合衆国の小説家Ｊ・Ｄ・サリンジャーが1951年に発表し、一時は主人公の言動や内容の過激さから〈禁書〉扱いになった作品『The Catcher in the Rye（ライ麦でつかまえて）』に登場する若者らの姿と重なるものを感じさせられる。「思春期」そして「青年期」を経て成長を続けてきた「ミレニアム世代」特有な、「外見の瑞々しさ」と「精神（内面）の成熟」という相反する要素が一人の中に同居しているがゆえの独特な姿が見事に捉えられている一冊。

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