EVE, La montagne et la jeune fille

フランス北部の町セクリン出身で、現在はパリを拠点に活動を行う写真家Thomas Klotzは、William EgglestonやStephen Shoreなどのアメリカを代表するカラー写真のパイオニアたちが用いる構図や色彩に触発されて、2019年に自身の出身地であるフランス北部に広がる郊外の風景を撮影した初の作品集『Northscape』を発表し、その穏やかな日常を捉えた印象に刻まれる写真で注目を浴びた。本書は作者にとって二作目となり、自身の娘Eveが9歳から12歳を迎えるまでの3年間にわたって記録したポートレートと都市で撮影した写真とを織り交ぜた作品集。9歳から12歳という年齢は小学校3年生から6年生までの頃にあたり、見た目も心も成長と変化が著しい思春期初期を迎える時期である。作者は日を追うごとに身長が伸び、顔立ちも変化していく娘をカメラ越しに追いかけることで、今後目にすることが叶わない今だけの姿をこの目に焼き付け、徐々に親元から離れてゆく寂しさを感じながらも記録を続けた。「ティーンエイジャー（13歳から19歳）」とは異なる、思春期初期特有のあどけなさや不安感の存在を感じる一冊。

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