Da in die Front

主に音を題材として空間のインスタレーション作品を制作するドイツ出身のアーティスト・Tim Löhde（ティム・レーデ）が、2022年にデュッセルドルフで開催した展覧会内で手がけたプロジェクト「Da in die Front」に関する内容をまとめた一冊。
このプロジェクトは、垂直に配置された二つの黄色いファイバーグラス製のタンクとケーブル群を介してテーブル状モジュール上のスピーカーに接続することで、「音」と「物質」と「空間」が重層的に交差する体験型のインスターション空間を構築したもの。
ここには工業的なものを彫刻としての「像」の文脈に引き寄せるという意図があり、レーデによるこの試みは、彫刻や写真、音響インスタレーションが交錯する現代的表現の中で、観る者を「像の前」に立たせるだけではなく、「像となること」「像とともに在ること」の問い直しが図られた。

TAG：grass publishers