Mapplethorpe Flora

1960年代にブルックリンで絵画やドローイング、彫刻を学び、その後1970年に友人からポラロイドカメラを譲り受けたことをきっかけに写真を撮り始め、その後は没頭し、1970年代のアメリカを代表する存在へと駆け上がった写真家 Robert Mapplethorpe の作品集。1967年から72年にかけて「クイーン・オブ・パンク（パンクの女王)」と呼ばれたシンガソングライターで詩人のPatti Smith と生活を共にしていた作者は、自身が同性愛者であることを自覚してからは、破局。その後は生涯を通して良き理解者同士であり続けた。破局した後は自身の同性愛を活発に探求し始め、ニューヨークのゲイSMカルチャーへと飛び込み、その独特で奇妙な世界観に魅了されていき、様々な表現を模索しながら様々な作品を形成。その後それらをまとめた写真集「X Portfolio」を発表し、これまで禁止・秘匿されていた同性愛を全面に押し出し、世間に大きな波紋を生んだ。作者はそうした挑戦的な表現だけでなく、1973年から亡くなった1989年まで一貫して花の撮影をカラーやモノクロを問わず続けており、本書にはそうして作者によって撮影された花の作品のみが収められている。大胆な構図ながら慎重に組まれたライティングで新たに引き出されたバラや蘭、チューリップたちの姿。確実に死へ至る病であったエイズと闘いながら、ポラロイドや大判カメラなど様々な機材を試しながら心血が注がれた作品に眼を見張る。作者の親友 Dimitri Levas による序文と Herbert Muschampによる解説付き。

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