CASA MARIA BOTTERO / UMBERTO RIVA

イタリアを代表する建築家Carlo Scarpaの弟子として学び、その後は建築家やデザイナー、画家として活動を行ったUmberto Rivaが最上階部分を家族が暮らす住居として設計を行ったアパートについてまとめた作品集。2024年春から夏にかけてミラノの建築ギャラリー兼書店「SPAZIO」で同内容を取り上げた展覧会が開催されたことに伴い刊行された。作者はこのイタリア・ミラノのパラヴィア通りに面する8階建て協同組合方式の集合住宅に関するプロジェクトに1965年から1967年の3年間にかけて取り組み、最上階ならではの天窓の採用や、特徴的な採光窓など趣向を凝らし、独自の空間を生み出した。その後完成した様子は戦後イタリアのデザイナーや建築家が手がけた作品を数多く撮影した写真家Giorgio Casaliが撮影を担当し、その時に撮影された写真はイタリアの建築雑誌「Domus」に掲載されただけでなく、数ヶ月後には国際建築雑誌「Zodiac」にも掲載されて多くの注目を集めた。 展覧会に先駆けて、2023年秋にこのアパートで現在暮らすミラノ工科大学の教授で、1963年から1974年まで上記の国際建築雑誌「Zodiac」の編集長を務めた建築家Maria Botteroの案内で、共に写真家のAllegra MartinとFrancesco Paleariが訪れて撮影を行っており、作者のデザインに秘められた詩的な要素がより強調されている。生活感溢れるキッチンやリビングの様子から、今もなお建築に血が通っていることを感じさせられる一冊。

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