境界 boundary

国内だけに留まらず、パリで個展を開くなど世界からも注目を集める若き木彫作家・彫刻家、クロヌマタカトシの初作品集。流木やクスノキ、土を材料にしている作者は頭の中にあるイメージを表現するためにそのイメージに適した材料を使って表現するものと、惹きつけられて拾ってきた流木を使うときの表現がある。この時にはすぐに彫り始めるのではなく、材料を綺麗にしたのちに静かに見つめることから始め、じっと木に命が宿るのを待ち、浮かんだ思いを元に彫りはじめてゆく。それは一人で生み出す仕事を超えた、自然と一緒になって作り上げていく臨場感があるという。そうして生み出された氈鹿、山羊、馬、農夫、花などのさまざまなモチーフをはじめ、今では見ることのできない初期の作品も掲載。時にたくましい生命を、時に静謐な空間を観るものに投げかける作品群に魅了される一冊。

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