オルガの木靴

2001年に東京・元麻布に開店して以降、移転や姉妹店のオープンを経て、開店から20周年を迎えたことを機に、現在は店主・吉田昌太郎氏の故郷である栃木県・黒磯で営業を行うアンティークショップ『tamiser』。その店内には有名無名を問わず、店主の審美眼によって選び抜かれた、多種多様な古物たちが絶妙なバランスで陳列されており、「昌太郎ワールド」としか言いようのない独特の空間が広がっている。そうした独自の演出と確かな審美眼に惹かれて、アンティークファンだけに限らず、デザイナーやアーティストといった人々も刺激とモノ達との出会いを求めて足繁く訪れており、多くの人々に愛されている。 本書は故郷に戻り、人生の第二章を迎えた吉田氏が選び抜いた100点の古物をまとめた図録であり、タミゼの過去・現在そして未来を紡いだ作品集。コロナ禍で海外への仕入れもままならず、モノが集まらない中「自分の心を満たす美のカケラは身の回りのすぐ近くにある」と自分に言い聞かせ、ひとつひとつ宝探しのように集めた、 狩猟の練習のための「デコイ」に、知られざる日本の家具デザイナー・城所右文次が、アルヴァ・アアルトの家具を独自に再解釈して生み出した椅子に至るまで、幅広いものたちが登場。そのそれぞれが紡ぎ出す世界や物語が閉じ込めている一冊。

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