静岡詩

静岡市出身の写真家・佐内正史による作品集。地元、静岡市とその周辺は作者にとって、どこか撮りづらく、気乗りしない場所のように感じてきたが、その訳を上手く言語化することができないまま、写真を始めた当初から20年以上にわたって「表現しない写真」という一貫した作風で地元を撮影することを続けてきた。これらの地元を撮影した写真はこれまで作品として発表をしてこなかったが、2023年に静岡市美術館で展示することが決定したことをきっかけに、なぜ気乗りしないのだろうかとその理由に正面から向き合い、時間をかけて言語化を行った。本書にはそうして漠然とした抽象的な気持ちと対峙し、因数分解していく中で綴ったエッセイに加えて、新たに撮り下ろした写真も収められており、「写真が写真であること」の意味を問い続ける作者の目に映ってきた地元・静岡の過去と現在の姿がこの一冊の中で織り重なっている。出版レーベルは作者自身が2008年に立ち上げた「対照」。

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