くらしの宝石［新装版］

現代の韓国を代表するソウル出身の写真家・具 本昌（クー・ボンチャン）が、自身のライフワークとして長年撮影に取り組んでいる「使いかけの石鹸」を撮り下ろした作品をまとめた一冊。
2007年に初版が刊行された本書は、この度「BON BOOK」のラインナップとして復刊されるにあたって、収録写真と構成が大幅に見直された。 大学で経済学を専攻して卒業後は大企業に就職するも半年で退職し、その後の1980年にドイツのハンブルグへと留学して写真を学んだクーは、帰国後に韓国写真界の第一線や世界で活躍しながら、国外へ散逸して国内にはほとんど残っていない「白磁」をはじめとする韓国の伝統文化や工芸を新たな視点から捉え直すことで、その魅力の再考と発信にも取り組んできた。 本作はクーが世界各地で見つけた石鹸を自ら日用品として使い古した姿を捉えたもので、新品の成形された状態から使用を重ねるごとに少しずつ角が取れて小さくなった姿は意図的でないにも関わらず、まるで原石から磨き出された宝石を彷彿とするフォルムの美しさと、最後には泡として流れる泡沫のはかなさが宿っている。
装丁は序文も書き下ろしたグラフックデザイナーの山口信博によるもの。

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