NATURAL SOURCES

生物学を中心に、昆虫学や鳥類学といった専門的な分野の研究を10年以上にわたって取り組んだのちに、写真家として活動を開始し、以来は35年以上モノクロフィルムのみの撮影で、現像やプリントにも自ら取り組みながら、動植物の生態や人と自然の接点を記録し、それぞれの関係性について検証してきたドイツ・ハンブルグを拠点に活動を行う写真家・Jochen Lempert(ヨヘン・レンペルト)。
本書は2020年から2022年にかけてヨーロッパ圏内を巡回したレンペルトの展覧会『NATURAL SOURCES』で展示されたものをまとめた作品集。
ここでは動物や植物に微生物、そして人間と様々な生命体を均一な眼差しで捉えることで日々変化する人間と自然の関係性が明らかにされており、撮影は森の中や都市、さらにアトリエの窓に家庭菜園の庭先などレンペルトの生活の延長線上が舞台に設定されている。
そうして様々な場所で記録された「空を飛翔する鳥の群れが形成する幾何学模様」や「海中を漂うクラゲ」、そして「ティーカップカップから漂う蒸気」などの出来事それぞれは、自然の中で繰り広げられる現象の一つとしてレンペルトに認識されており、人間もまた自然を構成する一要素に過ぎないと位置付けられている。
ひとつひとつの作品の連なりを意識して慎重にレンペルト自身が組み立てた構成の緻密さにも注目な一冊。

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