Letters on Korea

最近の韓国では、スマートフォンの翻訳アプリを通さずして意味を読み解くことができないロシア語やスラブ系の国の人々が用いるキリル文字に、スリランカの人々が用いるシンハラ語など、多種多様な言語を看板や標識など街中のいたる所で知らずのうちに目にする機会が増えている。こうして様々な言語を目にする機会が増えたのは、観光客の増加に加えて、「急速な少子化」と「地方の過疎化」という社会問題を解決すべく、韓国が国を挙げて外国人労働者の受け入れを拡大しているという背景がある。本書はそうした韓国の風景の変容を察知した出版社・Aprilsnow pressが、2022年5月に韓国の写真家・최요한（チェ・ヨハン）へ依頼し撮影された写真を元にして、韓国の変化する視覚文化の断面をまとめたもの。ここでは一年半にわたって首都であるソウル特別市の古路洞や梨泰院を中心に、東道川や金海といった地域へも足を運んで記録された多種多様な看板や標識を収録するほか、都市研究者・이상현（イ・サンヒョン）が作成したインフォグラフィックも共に添えられている。その単なる記録に留まらない場所の雰囲気や空気感が伝わっているリアリティに溢れた写真とインフォグラフィックを通して、変わりゆく韓国の現在地点を示した一冊。

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