CHILDHOOD

ファッションブランド『HYSTERIC GLAMOUR』より刊行の森山大道や荒木経惟を起用したシリーズ「hysteric」の編集やディレクションを筆頭に、アートディレクターとしての活動のほか、自身も写真家として作品発表も行う、綿谷修による作品集。ある時に写真の「特異性」や「純粋性」を追求することから離れて、「未熟さ」や「軽さ」、「ユーモア」や「ノスタルジー」などの要素の方が写真にとって重要ではないか、と思い立った作者。その後はこの気付きを主軸に撮影を始めると、次第に一枚一枚それぞれの写真同士が共鳴し合うようになり、ふと振り返るとそれが「自分の色」ではないかと自覚を感じるようになった。本書には初期の「アムステルダム」シリーズから、最新作である「ケイパビリティ」シリーズまで、ほとんどが初公開となる作品を収録。しかしこれは回顧することを目的に生まれたものではなく、すべての作品を見直した結果、このような形式となったのだと作者は語る。ロバや氷河、アムステルダムの運河にオホーツク海の小さな家、ウクライナの少年と猫。一冊を通して読み進めていくと、一見無関係のように見える4つのセクションごとに収められた場所や時間、被写体などのそれぞれが、微妙に、されど複雑に響き合っていることに気づかされる。

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