Fragments Of A Conversation With A Counterfeiter

イタリア出身で現在はオランダ・ハーグを拠点に活動を行う造形作家Diego Tonusによる高級時計や情報を偽造して流通させている「偽造者(犯罪行為のため協力者は実用的な理由で匿名）」との間で交わされた会話から派生して誕生した一連の作品とその流れを収めた作品集。作品が生まれるきっかけとなった偽造者との会話は、イタリア文化省の現代創造性総局であるイタリア評議会の支援のおかげで実現し、一連の作品はその後、イタリア・ボローニャの近代美術館の常設展示の仲間入りを果たした。各作品は作者と偽造者との間で交わされた会話を視覚化した物であるため、すべての作品は共著という扱いとなり、偽造者は偽造者だが、紛れもない作品制作に貢献した功労者でもあるという善悪が同居する存在となった。作者はこの作品を発表することで、現代の国家や企業が扱うシステムにおける物や情報の価値の定義に疑問を投じることを目標に掲げていたが、その後、ベルギー・オランダ・ルクセンブルグから構成される地域ベネルクスの知的財産局に企業秘密として本作品を登録したことで、公的な価値が生み出され、その目標は見事に達成された。情報化が進み、より複雑になった社会が抱える問題に一石を投じた挑戦的の軌跡を収めた一冊。

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