New Habitations: from North to East 11 years after 3.11

本書は2011年3月11日の東日本大震災の津波で一変した東方の沿岸部を中心に、震災後11年を経て活気を取り戻しつつある町の風景を写真家のトヤマタクロウが撮影を行い、その写真を撮影した地域の住人によることばと、その地をおおらかに捉えた詩を文章や詩、絵など多彩な表現を行うアーティストの瀬尾夏美が綴った写真詩集。二人による写真と詩は互いに直接的に関わるのではなく、一定の距離を保ちながら並走する形式をとっており、どこか堅苦しさを感じさせない柔らかさが宿っている。丹念に重ねた地域住民との対話と写真を編集者の柴原聡子が集成し、デザイナーの米山菜津子による白に黒文字の端的で洗練された装丁が合わさることで、これからも風化し忘れ去られることがないようにという強い思いを込めて、どこまでも時空を飛び越えるよう隅々まで磨き上げられている。被災地の現在を知るとともに、大変な時だけではなく、なんでもない時にこそ関心を持つ大切さをしかと感じさせられる一冊。

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