Stills & Stones

アムステルダムを拠点に活動を行う Mark van den Brinkの作品集。スパイアクション映画『007』などでも登場するライターほどの大きさながら確かな機能を兼ね備えたドイツ製超小型カメラ「Minox」を愛用する作者は、これまでは愛車のシボレー社のバンで各地を巡りながら気になったものを小さなファインダーから覗いて、ある時には望遠鏡や双眼鏡の覗き窓にレンズを近付けて、またある時には辻斬りの如く一瞬で誰にも気付かれることなくスナップ写真を撮影したりとその機動力を活かした撮影を行なってきた。しかし本作ではその機動性をかなぐり捨てて、「静物」の撮影に挑んでおり、自然光のもと、レンガを積んで築いたオブジェや、椅子の上に石ころを置いたり、我が子に授けたぬいぐるみを用いたりと手探りの即興で試行錯誤しながら、セッティングと撮影を繰り返した。8mm×11mmという小さなネガへと焼き付けられた、その努力の結晶によって生まれた作品群に思わず目を見張る。

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