Naked Rose

写真家石内都による写真集である本書は薔薇の香水の研究書に添える写真として撮り始めたが、やがて作品として自立を始めたために誕生した一冊。作者自身は薔薇が大好きではあったが、ある日飽きてしまい、買って飾ることも見ることもなくなっていた。そんな時に前述の研究書用の撮影の依頼が舞い込んだ。それまで花を撮影したことがなく、今回が初めてだという作者は薔薇と向き合う中で、かつては美しさや香りを目的に薔薇と接していたが、生命のひとつのカタチとしての薔薇や時間の経過を受けとめる身体のしての薔薇を発見した。また次の芽吹きの為にバッサリ切られて捨てられるという鑑賞植物ならではの一生が物語として興味深く、改めて薔薇が好きになったと作者は語る。タイトルを直訳すると「裸の（剥き出し）の薔薇」。美しさや香りが去った後の薔薇の本質に迫り、醜くも儚くもある終の姿まで見届けた写真を通じて、新たに芽生えた作者の愛着を感じることができる。
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