SOKOHI
鈴木 萌
日本人ビジュアルアーティスト、鈴木萌の作品集。作者は、自身の父親が緑内障により徐々に視力を失っていく中、共に過ごす日常を記録し始めた。本書は、その一連の写真を家族写真や父親自身が撮影した写真と組み合わせた構成となっている。このイメージ群を通じて、晴眼者には見えるが父親は見ることができない、あるいは父親が見ているようには他者には見ることができない世界の視覚化を試みている。
「底翳」(そこひ)とは、底にある翳、眼球内に潜む翳、つまり何らかの眼内部の異常により視覚障害をきたす目の疾患の俗称として江戸時代から使われてきた。そのうち、緑内障にあたる言葉は「青底翳」(あおそこひ)と呼ばれた。末期には角膜が地中海のように青緑色のようになり失明するという、ヒポクラテスの記述に語源があるとの一説もある。そうした長い歴史にも関わらず、現代の視覚障害の一番多い原因疾患である緑内障の病態は、その原因や治療法にいたるまでいまだ完全な解明がされていない。
− 「Reminders Photography Stronghold Gallery」での展覧会紹介テキストより
作者は東京に生まれ、ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションで写真を専攻。2011年東日本大震災後に帰国し、製本技術を習得してからヴィジュアルアーティストとして活動を開始。主に写真、アーカイブ、イラストレーションを織り交ぜながらアーティストブックを通して物語を紡ぐ。集団生活、障がい者やスピリチュアリティといったテーマに取り組み制作をしている。
本書は、「アルル国際写真祭ダミーブック賞(LUMA Recontres Dummy Book Award Arles)」を2021年に受賞。アワードの主催者である「アルル国際写真フェスティバル」と「LUMA財団」により本刊行が実現した。また、「カッセル・フォトフェスティバル」が主宰する「カッセルダミーアワード(Kassel Dummy Award) 2020」の最終選考作品となり、特別賞を受賞している。
TAG:鈴木 萌,CHOSE COMMUNE
2022年,新品,H260mm x W190mm x D13mm,CHOSE COMMUNE,3^製本^ソフトカバー150ページ,4^備考^サインあり
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