『A Magazine Curated By』は、2014年、ロンドンを拠点に自身のファッションブランド、ウェールズ ボナー(Wales Bonner)を創設した、ジャマイカ系イギリス人デザイナーのグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)を第22号のゲストキュレーターとして迎える。
デビュー時に披露した2015年秋冬コレクション「エボニックス(Ebonics)」から最新の2022年春夏コレクション「ヴォルタ ジャズ(Volta Jazz)」に至るまで、グレースは地上における「ブラックネス(黒人性)」の優位性やその神話を探求し、それらが持つ文化的な文脈を自身のデザインに織り込んできた。ウェールズ ボナーのコレクションやプレゼンテーションなどの表現方法は、多様なアイデンティティを包括し、その美の表現を捉えている。今やファッション業界の最先端に位置づけられる彼女の美学は、テーラリング技術とストリートでのカジュアルな装いやそれを纏う人々のジェスチャーを融合させることを試みている。
「Rhapsody In The Street」と題された本号では、20世紀の黒人の詩や文学、ポートレイト写真の伝統に呼応して、アーカイブに収められている代表的な作品や歴史的な資料をデザイナーのグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)が厳選し、新たに制作依頼したエッセイ、絵画、ポートレイトと組み合わせた「A Magazine Curated by」シリーズ第22弾。マット紙とグロス紙の組み合わせに小口の金付け加工と、ブックオブジェとしても美しく作られている。さらに、本号にはカメルーン人フォトグラファー、サミュエル・フォッソ(Samuel Fosso)の「Autoportraits II」シリーズからのプリントがランダムに1枚、本誌内に差し込まれている。
ミン・スミス(Ming Smith)のセルフポートレイトから、ミュージシャンのダミアン・マーリー(Damian Marley)を撮ったスティーブン・トレイラー(Steven Traylor)の映画の一場面のようなストーリー、アフリカのファッションモデル、セレーナ・フォレスト(Selena Forrest)の本質を写し出したゾーイ・ガートナー(Zoë Ghertner)のストーリー、ポール・ムパギ・セプヤ(Paul Mpagi Sepuya)がスタジオで撮影した作品、イギリスのファッションレーベル「ウェールズ ボナー」(Wales Bonner)のデビューとなった2017年春夏コレクション「Ezekiel」を振り返ったタイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)の作品まで、ロサンゼルス、ロンドン、マイアミ、パリ、ニューヨークで撮影されたビジュアルポートフォリオを収録。
他にも、ジャマイカのダンスホールの伝統についての対話、ニューヨーク市ハーレムの写真家集団「カモインゲ」(Kamoinge)に関するエッセイ、ガーナの未公開映画写真アーカイブ、リネッテ・イアダム=ボアキエ(Lynette Yiadom-Boakye)の絵画と詩、ジョン・ゴトー(John Goto)の代表作「Lovers' Rock」シリーズとロジャー・ロビンソン(Roger Robinson)の新作の詩などを収録。また、冒頭と巻末では、ナイジェリア人小説家、詩人のベン・オクリ(Ben Okri)が祝福を述べている。
コントリビューター:
Adjoa Armah, Akeem Smith, Anthony Barboza, Beat Streuli, Ben Okri, Chino Amobi, Damian Marley, Dawoud Bey, Gregory Tate, Harley Weir, Hilton Als, Ishmael Reed, Jamie Hawkesworth, John Goto, Laraaji, Liz Johnson Artur, Lynette Yiadom-Boakye, Mahfuz Sultan, Marlon James, Dr. Michael Ralph, Ming Smith, M.J Harper, Paul Mpagi
Sepuya, Roger Robinson, Samuel Fosso, Shanay Jhaveri, Steven Traylor, Tyler Mitchell, Wilson Oryema, Zoë Ghertner.
掲載作家:
Amiri Baraka, Billy Abernathy, Brassaï, David Hammons, Dennis Morris, Eric N. Mack, George Platt Lynes, Lord Snowdon, Louis Draper, Ntozake Shange, Viviane Sassen.
Wales Bonner:
ウェールズ ボナー(Wales Bonner)は批評論や音楽、文学、そして歴史といったアカデミックな幅広いリサーチを基軸に、ヨーロッパ文化とアフロアトランティックの精神をハイブリッドしたアプローチを通じて、独自のラグジュアリーの概念を提案している。
グレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)は、2014年、セントラル・セント・マーチンズ卒業後、自身の名前を冠したファッションブランドをスタート。メンズウェアブランドとして誕生したそのソウルフルなテーラリングは、ウィメンズウェアへとも拡大した。2015年、「ブリティッシュファッションアワード」のメンズウェアデザイナー賞を獲得。2016年、初のソロプレゼンテーションを経て、「LVMH ヤング・ファッションデザイナー・プライズ」を受賞。2019年、ディオールのアーティスティックディレクター、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)に招かれ、ディオール2020年リゾートコレクションにてニュールックを再解釈したルックを披露した。その後、「BFC/ヴォーグ デザイナー ファッションファンド」にてグランプリを受賞。
2019年1月、グレース・ウェールズ・ボナーはロンドンのサーペンタイン・ギャラリーにて「A Time for New Dreams」展のキュレーションを担当し、展覧会を主催。現在ではセントラル・セント・マーチンズ准講師を務めるほか、ニューヨークのパーソンズ美術大学にて講演を行なった。
ウェールズ ボナーのメンズ・ウィメンズ両ラインはマッチズ・ファッション(Matchesfashion.com)、ドーバー・ストリート・マーケット(Dover Street Market)、ネット・ア・ポーター(Net-A-Porter)、バーニーズ(Barneys)、センス(Ssense)、ブラウンズ(Browns)、ブーン・ザ・ショップ (Boon the Shop)、ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)など、世界各国のセレクトショップにて取り扱われている。
TAG:A Magazine,GRACE WALES BONNER,A MAGAZINE CURATED
2021年,新品,H295mm x W230mm x D13mm,A MAGAZINE CURATED,3^製本^ソフトカバー200ページ