図録 「プロジェッティスタ城谷耕生−イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」

2025年9月から11月にかけて長崎県雲仙市の各所で開催された、雲仙市小浜出身のデザイナー・城谷耕生の生涯とその作品について紹介する展覧会「プロジェッティスタ城谷耕生 イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」の公式図録。
東京で建築とデザインを学ぶも、当時のバブル好景気の最中でデザインが商業主義に取り入る様子に不信感を持った城谷は、アートに可能性を見出して1991年にイタリアへと移住。
そこでアッキーレ・カスティリオーニやエンツォ・マーリなどのイタリアデザイン界における巨匠と交流を持ち、彼らと様々なプロジェクトに携わる中で「プロジェッタツィオーネ」を会得した。 「プロジェッタツィオーネ」とは、利潤を求めるのではなく、社会性や倫理性に重きを置いて共同体のための創造や教育の実現を目指してプロジェクトに取り組む思想・方法論。職人との対話や綿密なリサーチを通じて社会に役立つデザインを協働で生み出すことは、城谷がバブル期の日本で感じたデザインの姿勢に対する違和感を払拭するものであった。
本書では城谷が2002年の帰国後に自身の生まれ育った雲仙市小浜を拠点に展開した、教育やワークショップなどの様々な活動や取り組みについて紹介するほか、生前に城谷と関わった人々から寄せられた言葉も収録。
逝去したのちも次世代の担い手に理念が継承され、今もなお発展を続けていることが明らかにされている。

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