Circle! Square! Progress!: Zurich's Concrete Avant-garde

1930年代から40年代にかけてスイス・チューリッヒで活動したアーティスト集団を中心に興隆した芸術運動「チューリッヒ・コンクリティスト」について包括的にまとめたモノグラフ。
「チューリッヒ・コンクリティスト」は、絵画とグラフィック・デザインの領域を超えて活躍したMax Bill（マックス・ビル）、Camille Graeser（カミーユ・グレーザー）、Verena Loewensberg（ヴェレーナ・レーウェンスベルク）、Richard Paul Lohse（リヒャルト・ポール・ローゼ）といった芸術家たちが、「印象派」をはじめとする古典美術のスタイルを模倣した作品ばかりを当時のチューリッヒのエリートや批評家がもてはやしていることに対する反感から生まれた運動で、その幾何学性を重んじた従来にない前衛的な作品から、発表当時は激しい非難や嘲笑に晒された。
しかしその後に「コンクリート・アート」は世界的な芸術運動へと発展を遂げたことから、その初期段階である「チューリッヒ・コンクリティスト」は、第一次世界大戦を逃れて世界中の芸術家がスイスに集ったことで1910年代中頃に勃興した芸術運動「ダダイズム」と並んで、20世紀のスイスの芸術やグラフィックデザインの基礎概念を築いた重要な芸術運動に位置付けられている。
本書では多様な視点を通じて「チューリッヒ・コンクリティスト」による活動を紹介しており、運動に参加した芸術家による主要な作品を中心に、ゾフィー・トイバー＝アルプといった「ダダイズム」の芸術家との関係性のほか、「デ・ステイル」や「バウハウス」などの近隣諸国の芸術運動からの影響、さらにジャズやダンス、数学、色彩理論などの分野との関連性などをフルカラーの豊富な資料とともにテキストを通じて考察。 この一冊で「チューリッヒ・コンクリティスト」の全貌を読み解くことができる。

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