手に負えない空間

京都市左京区一乗寺に位置する古道具店『itou』の店主である伊藤槙吾の空間づくりの哲学と日々の実践を、『itou』に足繁く通う京都在住のアーティスト・qpが記録した写真とともに振り返った一冊。
国や地域、時代などその出生を問わない店主の伊藤慎吾に見出された様々な一点ものが並ぶ『itou』では、単にそれらの品々を並べるだけでなく、月単位で店内の什器や品々の配置を一から構成する実験的な取り組みを実施しており、伊藤慎吾は「物」と「空間」、そしてそこへ訪れた「人」の三者が織りなす関係性を注視してきた。
本書ではqpが一定の距離感で品々とそれらが並ぶ空間を記録した写真と、伊藤慎吾が自身の思考を綴った短文十数編を収録。
なおこの写真とテキストの構成順は、『itou』の店内がひとつの正解となる形を持たない流動性があることになぞらえて全て一冊ずつ異なるランダムな状態で綴じられており、一点ものを扱う店ならではの「変わり続ける空間」と、伊藤慎吾による創作や空間演出への思いが宿る画期的な印刷物に仕立てられている。

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