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ドローイングや彫刻など様々な表現技法を用いて既存の建築物へと新たに手を加え、その変容した建物の形態や景観を写真に記録することで、様々な建築や空間の深層的な魅力を浮き彫りにするスペイン出身のアーティスト・Nicolás Combarro（ニコラス・コンバロ）による作品集。
既存の建築物に手を加えて作品を生み出す手法は、1970年代のニューヨークを賑わせた美術家のゴードン・マッタ＝クラークや、フランスの芸術家夫婦であるクリスト&ジャンヌ＝クロードなどを彷彿とさせるが、コンパロはそれぞれの建築とその空間が持つ本質的な形態美を明らかにすることを目標に制作へ取り組んでおり、ドローイングや彫刻はあくまで制作の途中段階で、作品の最終形は写真ということが独創的かつ他者との差異に繋がっている。
本書では経年劣化で生じたひび割れをなぞったドローイングや、まるで空間に直線が走っているように見える錯覚を利用したものなど、写真が有する三次元の空間を二次元の平面に圧縮するという特性を存分に引き出した様々な作品が収録されており、表現の縦横無尽さから次第にコンパロ固有の世界観に引き込まれていく。

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