TOKYO NUDE 100［SIGNED］

フォトグラファーでレタッチャーの安藤瑠美が、雑然としてまとまりのない東京の都市景観の中から、窓や街頭広告、屋上のアンテナといったノイズとなる情報をレタッチ(デジタル画像編集)で省略・調節することで均整をとり、新たな東京の姿を明らかにした「TOKYO NUDE」シリーズを100点収めた作品集。 地元・岡山から大学進学を機に上京し、東京への馴染めなさを克服するために都市の撮影をはじめた安藤は、のちに仕事で電線などを消すレタッチ作業に取り組む中でその編集の面白さに目覚め、自身の趣味としてこの「TOKYO NUDE」シリーズに着手した。 そんな安藤が生み出す現実と虚構の間に位置する不思議な世界観は、2024年度の第170回芥川龍之介賞に選ばれた小説家・九段理江による小説『東京都同情塔』表紙への採用をはじめ、文芸誌や雑誌など様々なメディアを通して紹介され、国内外より大きな話題を呼んできた。 本書では100点全ての作品をフルカラーで掲載するほか、作品が生み出されるまでのメイキングに加えて、安藤と『東京都同情塔』の著者である九段理江や、建築事務所「アトリエ・ワン」の代表の一人である建築家・塚本由晴の対談内容も合わせて収録。 より深層的に「TOKYO NUDE」シリーズの魅力に迫ることができる。 また装丁はブックデザイナーの川名潤によるもので、透明なPUR糊を用いて綴じることで、背表紙を付けずに剥き出しにする「スケルトン装」を採用するなど作品と調和した造本もまた魅力的な一冊。

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