Panton: Environments, Colours, Systems, Patterns (compact edition)

デンマークの家具といえば、木で組んだフレームに革や植物繊維といった天然資源を組み合わせて、職人が一つ一つ手作業で作り上げる工程が主流だった中、グラスファイバーやプラスチックといった当時最先端な素材に可能性を見出して海外へ飛び出し、金型に流し込んで成形する製造工法ならではの大量生産に適した新たなデザインを生み出したことで、従来のデンマーク家具に対する印象を塗り替えたデンマークのデザイナー・Verner Panton（ヴァーナー・パントン ）。画家から建築家志望に転向し、デンマーク王立美術院で学んだのちにデンマークを代表する巨匠・Arne Emil Jacobsen（アルネ・ヤコブセン）の事務所で働いていた経歴も持つパントンは、椅子や照明だけでなく、色彩や幾何学模様に強い関心を持っていたことから、その延長線上としてテキスタイルにも取り組むなど広範な分野で足跡を残した。本書ではデンマーク王立美術アカデミーの教授権博士であるIda Engholmとコペンハーゲン大学の教授兼博士であるAnders Michelsenの二人によって、パントンによる先鋭かつ広範な作品について紐解かれている。パントンによる取り組みは現代においても通用するデザインであると同時に、国や言語の壁を越えてグローバルにその魅力が伝わる先駆的な視覚体験であることが明らかにされている。

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