M/E

柔らかい光をはらんだ独特の淡い色調を特徴とし、人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さを写す写真家、川内倫子の写真集。 タイトル「M/E」は、「母（Mother）」と「地球（Earth）」の頭文字であり、続けて読むと「母なる大地（Mother Earth）」、そして「私（Me）」という意味が込められている。 2019年にアイスランドを訪れた川内は、地球の息吹を感じる間欠泉や人間の持つ時間を遥かに超える氷河、胎内のような休火山の内部を目の当たりにし、いままでに感じたことのない、この星との繋がりを感じた。 そして悠久の自然の存在と日々の日常で起こるささやかな出来事は無関係ではなく、分かち難くつながっていることの必然が呼び起こされるのだという考えに至った。本作は自然と向き合いながらも自身の視座を獲得した『あめつち』『Halo』の先にある、自然と人間のつながりという原点に立ち返り、激動の時代の中でも世界を見つめ直した最新作となる。 透けるような繊細で薄い紙に写真が印刷され、クロス装には大胆に箔押しが施されている。アムステルダムのデザイナー、ハンス·グレメンによるオブジェのような佇まいを持った装丁も美しい一冊。 巻末には作家、写真家、美術史家であるテジュ·コールによる、手紙のように綴られたエッセイを収録。

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