Kuijer, Rietveld / Rietveld, Kuijer

抽象画家として知られるPiet Mondrianの協力のもと、画家で建築家のTheo van Doesburgが古い芸術を打破し新たな芸術の創出を目指して1917年に発刊した、オランダ語で〈様式〉を意味するタイトルの美術雑誌『De Stijl』より世界的に広がった国際的造形運動「デ・ステイル」。
この運動にメンバーとして参加したことをきっかけに世界から一躍注目を集めた人物の一人として、オランダ出身の20世紀を代表する建築家・家具デザイナーのGerrit Thomas Rietveldがいる。
代表作「レッド&ブルーチェア」や「ジグザグチェア」で知られるRietveldは、父が家具職人であった影響で幼少期から家具づくりに憧れを持ち、父親の元で修行を積みながら夜間学校にも通って木工の技術を磨き、弱冠23歳で自身の工房を設立した。
そうしてRietveldが制作した試作品を含む家具の数々は、出生地であるオランダ・ユトレヒトの中央博物館が所蔵しており、世界最大の「リートフェルト家具コレクション」として知られている。
本書はその所蔵されている家具群を1980年代に調査し、その経験が自身の抽象彫刻の指針になったと語るオランダの彫刻家・Ruud Kuijerが手がけた、Rietveldが「De Stijl」のメンバーに加わる以前に制作された初期作品と自身の作品を見開きで並置し、椅子と彫刻それぞれの制作過程における差異と共通点を検証したもの。
ここではRietveldの初期作品が有する「彫刻作品」としての要素を明らかにすることで、Rietveldの椅子を現代彫刻の文脈から捉えており、KuijerがRietveldからどのような影響を受けたのかに関しても合わせて感じ取ることができる。

TAG：William Tucker,Ruud Kuijer,NAI Publishers