Hisae Imai
今井壽惠
目まぐるしい戦後復興を遂げ、「もはや戦後ではない」という言葉が飛び出すほどに好景気が訪れていた1950年代の日本。その頃の日本の写真は、細江英公や川田喜久治らが結成した写真家集団『VIVO』が一躍脚光を浴び、新風を吹かせていた。そんな彼らと同時期に、心の機微や文学的な表現を取り入れた詩的かつ前衛的な作品を発表し、賛否は分かれつつも、「新人女流写真家」として注目を集め、コマーシャルフォトに営業写真、そして芸術写真と幅広く活動を行ったことから、「日本写真史において最も成功した存在」と評される女性写真家・今井壽惠がいる。デビューから時を経て、仕事に追われる忙しくも順風満帆な日々を送っていた今井は、1962年にタクシー乗車中、交通事故へと巻き込まれた。この出来事が原因で、今井は一命を取り留めたものの、後遺症として約一年半の期間視力を失い、仕事も休止を余儀なくされた。その後無事に視力が回復した際に、今井はふと鑑賞した映画「アラビアのロレンス」の中に登場する馬に目を奪われた。この時を境に、馬の持つ魅力に惹かれた今井は、親交のあった劇作家・寺山修司の案内で競馬場を訪れ、実際に目前を走り去っていく馬の姿を目の当たりにし、その後亡くなる最期まで馬をテーマに作品制作を手がけた。その功績を認められて、亡くなった同年の2009年には『JRA賞馬時文化賞功労賞』を授与され、現在は国内外を問わず〈馬写真の第一人者〉として今井の名前が知られている。しかしその一方で、交通事故に遭う以前の初期に手掛けていた前衛的な作品群はその裏に鳴りを潜めてしまい、次第に埋没しつつある。本書はその初期の作品群を発掘するべく、1956年発表の鮮烈なデビュー作「白昼夢」をはじめ、フランスの詩人ジャック・プレヴェールの詩に発想を得た「ロバと王様と私」といった初期作品を中心に集成された作品集。収録されている作品の多くが、50年代にはまだ珍しかったカラー写真で表現されており、白黒写真が主流かつ女性が社会進出しはじめて間もない当時に、今井の登場がいかに鮮烈であったかを目の当たりにすることができる。
TAG:今井壽惠,赤々舎
2022年,新品,H283mm x W221mm x D19mm,赤々舎,3^製本^ハードカバー176ページ
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