Dream About Nothing

2018年まで『New York Magazine』のフォトグラファーとして活躍したのち、現在はAppleやLOUIS VUITTONなどのブランドの撮影も行うアメリカの静物写真家Bobby Dohertyが、スタジオの内外を問わず過去5年間の間に撮影したものをまとめた作品集。ページをめくっていくと見開きで「ハエと左右で異なる虹彩を持つオッドアイの猫」、「自動車のホイールとズッキーニを握った手と菖蒲」などがセットで並んでおりそれぞれが何かを理解することはできても、なぜこれらが組み合わされ、どのような意図が込められているのかまで想像を巡らせる事は難しい。種明かしをするとそれぞれの作品同士は言葉の韻を踏むような形で結び付けられており、あえて意図していないことで通常考えても思いつかないような独特かつ大胆な配置の「妙」と「歪み」が生み出されている。作品全体を通して巧みな構図と色彩で軽やかなリズムを生み出しながら、写真が可能とする表現の限界と本質に挑んでいる一冊。

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