Cell Grids

2021年から2022年にかけて開催されたニューヨークを拠点に活動を行う現代画家Peter Halley の展覧会に合わせて刊行された作品集。既存の社会や国家の構造が抱えている課題を明らかにすることで、よりよい社会の実現を目指す思想「ポスト構造主義」で知られるフランスの哲学者 Michel Foucault による著作『監獄の誕生』に感銘を受けた作者は、「牢獄」を想起させられる幾何学体を描いた絵画を制作し、絵画という平面の中に視覚的な効果を取り入れることで、急速に経済成長を遂げる中で広がる産業主義や消費主義に対する哲学的・社会的な批評スタイル『ネオ・ジオ』を展開した。その後インターネットが普及したことで変化した社会に呼応する形で新たなスタイルに切り替えて、デジタルプリントやインターネットアートといった新たに登場した技術を用いた制作に取り組み、インタレーションといった大型作品も手がけている。本書ではそうした多彩な作品が生まれた背景を辿ることで作者のセルグリッド絵画に込められた意図や目的に迫っており、作者の特徴である視覚的効果と概念を織り交ぜることで生まれる相互作用についての詳細が明らかになっている。

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