YIELD

ドイツ出身で現在はファッション分野を中心に活動を行うフォトグラファーJan Lehnerによる初の写真集。COVID-19の世界的大流行や自身の子どもの誕生に、病気や親との死別など「喜び」や「苦しみ」が入り混じった5,6年を過ごした作者は、当時を「大きな個人的変化と挑戦の期間であった」と振り返る。本書に収められている作品は何か明確な目的や目標を念頭に置かずに漠然とした記録に近く、日常的に撮影された写真を用いて構成が行われている。そのため作者の身に起きた上記の出来事に関して明確に触れられてはいないが、そうした出来事の合間のふとした瞬間にシャッターを切っていたことを感じさせられる、「不安」や「悲しみ」、「閉塞感」など様々な感情が入り混じった作品が連なっている。そうした背景を踏まえる形で、タイトルの『YIELD』には「抗い難い試練を前にしたとしても、無闇に抵抗せずに身を委ねることで、人は何か新たな知見を得ることができる」という作者自身が身を持って体験した出来事を指す意味が込められている。 合わせてドイツ人作家で詩人のTheresa Patzschkeによる詩を、オリジナルのドイツ語と英訳版の二言語で収録。

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