HEART OF HEARTS

ニューヨーク・タイムズ紙の「Best Art Books of 2023」にも選出された、日系アメリカ人アーティストのミヨコ・イトウの作品に徹底的にフォーカスした初の作品集。
1981年にシカゴで非公式に結成された「アリューシヴ・アブストラクショニスト」（比喩的抽象表現主義」）の一人としておおまかにまとめられている作者であるが、他の同派作家による作品とは異なり、その幾何学的構成の多くは風景やインテリア、人体を思わせる独自の作風で作品を生み出してきた。しかし、その優美かつ謎めいた抽象表現は彼女が成人以降ほとんどを過ごしてキャリアを築いたシカゴの外ではほとんど知られていない。本書はイトウの二つの個展のキュレーションを務めた、インディペンデント・キュレーターでありライターのジョーダン・スタインによって刊行が実現したものであり、200点以上ものフルカラー作品にアーカイブ資料、さらに1978年に行われたインタビューなど、これまでの活動とその背景を踏まえて、戦後アメリカのアート史の中にふさわしい座を授けるべく綴られた、5,000文字に及ぶ伝記的エッセイも収録しており、キューレーターの並々ならないイトウへの熱意が込められている一冊。

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