The Wonder of Milan

本書は戦後のフィンランドの復興と現在のデザイン大国としての地位を築く大きなきっかけとなったイタリア・ミラノで3年ごとに開催される美術展覧会「ミラノトリエンナーレ」を中心にフィンランド・デザインの歴史を振り返る作品集。1917年にソ連から独立を果たすも、「冬戦争」と「継続戦争」で再びソ連から侵略を受け、この侵略に対抗する支援をナチス＝ドイツから受けて協力関係となったことから、第二次世界大戦後は敗戦国側の立場に置かれ、国際的な立場を失い、フィンランドは苦境に立たされることになった。しかしそうした状況下でも陶芸家のルートゥ・ブリュックや、テキスタイル作家のドラ・ジャングにデザイナーのカイ・フランクなどは怯むことなく創作に励み、前述の「ミラノトリエンナーレ」に渾身の作品を出品して見事大賞を受賞して世界を驚かせた。この一連の出来事を本書タイトルでもある「Milanon Ihme（ミラノの奇跡）」と呼び、今もなお語り継がれている。フィンランドの復興の歴史を工芸とデザインの観点から辿ることができる一冊。

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