The Book of Rhyme and Reason: Hip-Hop 1994-1997

1990年代、既にあらゆる方面から巨大なマーケットとして認知され、のちにアメリカの音楽業界で最大の売り上げを誇るジャンルとなった音楽・ファッション・ダンスなどからなる文化「ヒップホップ」。本書はこの文化発祥50周年を記念し発行されたもので、ドキュメンタリー映画監督であるピーター・スパイアーが「ヒップホップ」と、この流行が包含する人々や文化をリアルに捉えるために3年間かけて制作した作品『Rhyme & Reason』の撮影の舞台裏に迫った作品集。この『Rhyme & Reason』は徐々に商業化されゆくヒップホップの真髄を現場で活躍する豪華アーティスト達が生の声で語るドキュメンタリー・フィルムであり、「ブレイクダンス」や「グラフィティ」など各エレメントの解説や、そのパイオニア達を紹介するとともに、ニューヨークからL.A.、ハウジング・プロジェクト（低所得者層住宅）からノース・ハリウッドの豪邸、ブロック・パーティーから業界コンベンション、純粋なクリエイティブ精神からセックス・ドラッグなど犯罪にまつわるギャングスタ・ラップまで、文化的、社会的側面からヒップホップの本質を探っていく構成となっていた。作者はこのドキュメンタリー作品制作のために動画を回すだけでなく、同時並行で中判フィルムカメラ「Rolleiflex」でも撮影を行って舞台裏の記録を行なっており、その撮影枚数は1994年から1997年までの3年間の間で130枚以上になる。「ヒップホップ」が黎明期である「オールドスクール」を経て、現在の不動の地位を築くまでの狭間の時期を収めた貴重な一冊。

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