AXIS : Special edition

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催されたグラフィックデザイナー 髙田唯の展覧会『混沌とした秩序』に伴って刊行された作品集。従来のデザインの文脈では捉えきれない、作者の無秩序で自由奔放なデザインは、適当で粗雑なのではなく、熟考し試行錯誤を繰り返した結果生み出されたものであり、深い意図が込められている。そんな作者のこれまでの作品471点を網羅する本書は、 AXIS（軸）という書籍名の通り、「串刺しにしたい」という作者の要望に応えて、中国・北京を拠点に活動するグラフィックユニット ori.studioが監修した、ボルトが中心を貫いて綴じられた特殊製本が採用されており、鑑賞者はボルトを回し、外してから中を見るという仕様になっている。その上、ページ番号の記入はなく一度分解すると最初の順番が分からなくなるため、鑑賞者は鑑賞と同時に混沌と隣り合わせの緊張感を感じるという仕掛けもこの製本には込められている。作者の仕事や向き合う姿勢、デザイン手法などについて長年作者と交流のある中垣信夫や原研哉、服部一成へのインタビューを通して三者三様の印象が語られているほか、作者と直接の接点はないものの、自身の実践が「軸」という概念と密接に結びついている写真家の澤田育久や、音楽家の蓮沼執太によるエッセイも収録。

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