Voyages

1990年から『ANDERSON & LOW』としてタッグを組んでいる芸術写真家のJonathan AndersonとEdwin Lowの二人による作品集。「ファンタジー」と「知覚された現実」の関係性を研究し、美術史に関連付けることで、写真を芸術へと昇華させている二人が今回、被写体として選んだのは、科学博物館が所蔵している海洋史の発展を示した精巧に作られた船のミニチュア模型。これらの模型を保護するために保護シートが掛かっていたのをあえてそのままの状態で周囲の光のみを使用して撮影を行うことで、まるで靄や霧に包まれているような幻想的な写真を生み出すことに成功しており、さらにレンブラントやターナーといった風景画との共通点のほか、文学や音楽の説明との関連を明らかにすることで、科学と芸術とを股にかけた全く新しい表現へと到達するに至っている。二人のこれまでの多くの作品に共通する「幻想的」でかつ「技巧的」、そして知覚へと訴えかけるといったテーマを引き継ぎながら、より深化を遂げている一冊。

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