地方・郊外と家庭での出来事をテーマに撮影を続ける写真家、川崎祐の作品集。今回の舞台である和歌山県新宮市は熊野速玉大社があり、熊野古道伊勢路の終着点という「聖地」。しかし作者は「聖地」ではなく「荒地や空き地や住宅」に目を向ける。舞台である新宮市以外でもありふれた、しかし郊外化が進んで失われてきた風景がどこか懐かしく、自身と会った事もない他者の幼年の頃の記憶が重なる不思議な心地を感じ、直向きに撮り続けた。また奈良の大和八木から新宮を結ぶ高速道路を使わない路線としては日本一の走行距離を誇る路線バスに乗車しながら、車窓から風景を収めた一見失敗写真とも捉えられる、ブレたりバスの窓枠が映り込んだりした写真群を通して、風景写真とは何かを改めて問い直す。二部構成となっている上に前後共に表紙の設え。映えや流行から一線を画した普遍性を湛えた一冊。 TAG:川崎祐,喫水線
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