MONOGRAM 3:MONUMENT

ベルギー発の月刊誌『MONOGRAM』の第3号。写真出版の新しいアイデアのプラットフォームとして、2022年に出版社「ART PAPER EDITIONS」を主宰するベルギー人デザイナー、ユルゲン・マエルフェイ（Jurgen Maelfeyt）と「MONOGRAM BOOKS」のアシュリー・ヘルヴィー（Ashley Helvey）によって立ち上げられた。 本号『MONUMENT』では、フランス人フォトグラファーのカミーユ・ヴィヴィエ（Camille Vivier）が、以前から蒐集していた「魔法のキャンドル」を被写体としている。これらのキャンドルは、元々ブラジルの魔術・呪術色濃いマクンバ、世界最古の宗教のひとつであるキューバのサンテリア、またはハイチなどを中心に広がるブードゥー教など民間信仰の儀式で使われているものである。 作者は、このキャンドルを灯すことで、虚栄心や記憶、時間の流れそのものに疑問を投げかけ、静物画という古典的な主題に新しい視点を与えている。また、人体模型的な役目を本来の意図から切り離することによって、自律性を与え、その魔力を高めている。 本作は、キャンドルを主な光源とし、光と影を繊細に表現していることで特徴づけられている。キャンドルの側面から蝋が滴り落ちたり、炎が揺らいだりと、さまざまな燃焼の段階を見せることで、それぞれのイメージに動きを作り出している。 また、これらのイメージでは、キャンドルが持つ「燃え尽きたら願いが叶う」という、脆くも潜在的な力が写されている。鑑賞者としては、儀式が成就する様子は見えないが、ただ見つめるという、一枚の写真で終わる行為が十分なのかもしれない。

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