写真が終わる前に

本書は篠山紀信や森山大道、マーク・ボスウィックといった写真家の写真集の編集を手掛けた編集者・菅付雅信が写真専門誌『コマーシャル・フォト』の中でのおよそ6年にも及ぶ連載「流行写真通信」の原稿を中心にまとめた一冊。この連載では国内外問わず広告やファッション、ドキュメンタリー、ヌードと多岐の分野に渡る写真表現それぞれの最前線で活躍する写真家とその関係者総勢116名へと取材が行われ、変わりゆく時代の渦に飲み込まれないよう抵抗する人とその渦中の人、はたまた渦から抜けて平穏を手にした人と様々な境遇の人々が登場する。「写真家」としてではなく、「編集者」としての客観性を重んじつつ淡々と記された文章には写真の「過去」と「現在」、そしてこれからの「未来」へと向けられた憂いと期待が合い交わった鋭い眼差しが宿っている。果たして写真は終わるのか。写真が果たす役割やいかに。

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