SOME SAY ICE
Alessandra Sanguinetti
アメリカ人フォトグラファー、アレッサンドラ・サンギネッティ(Alessandra Sanguinetti)の作品集。2014年以来、ウィスコンシン州の小さな町ブラック・リヴァー・フォールズに戻り、荒々しくそぎ落とされた本シリーズを形作ることになる写真作品を制作してきた。この町は、19世紀末に写真家チャールズ・ヴァン・シャイク(Charles Van Schaick)が撮影した写真を収録した作品集『Wisconsin Death Trip(ウィスコンシン・デス・トリップ)』の題材でもあり、その町の住民の生と死の荒涼とした苦難を記録している。作者は幼少期にこの本に出会い、初めて死を意識した体験として記憶に刻まれた。この出会いが、やがて写真と死の不思議な関係を探求するきっかけとなり、結局、自らブラック・リヴァー・フォールズを訪れるようになった。
本書の厳かで彫刻的なシーンと曖昧で不安を掻き立てるポートレートは、まるで時間が流れない場所を描き出しているようである。テキストや解説がない写真には、ゴシックの精神と、作者のシリーズ作品『THE ADVENTURES OF GUILLE AND BELINDA AND THE ENIGMATIC MEANING OF THEIR DREAMS』で馴染みのある優しさも感じられる。写真に秘められた疑惑や暗黒面の底流を表面化することで、不在であるものや見えないものを暗示し、現実と想像の両方の雰囲気や、写真という行為を通して死を元に戻すという幽霊的な可能性を演出している。アメリカ人詩人ロバート・フロスト(Robert Frost)の有名な詩『Some Say Ice』から着想を得たタイトルは、避けられない死をどのように迎えるのが最善かということに対し言葉を濁しており、世界有数の写真家である作者が氷のように澄んだ目で、我々の生活の根底にある憂鬱な現実を人情的に表現している。
TAG:Alessandra Sanguinetti,MACK
2022年,新品,H290mm x W310mm x D29mm,MACK,3^製本^ハードカバー148ページ
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