NOIR SUR NOIR

2018年にヤン・チヒョルト賞を受賞した印刷技術者、Che Huberが約2年をかけて活版印刷によって制作した渾身の一冊。
2000年代初頭、ジュネーヴに印刷所「Noir sur Noir」を設立して、多くの編集者やデザイナーなどとコラボレーションしてきたHuber。現代的なプロセスも探求しながら、熱転写などの伝統的な印刷技法の限界に挑戦している彼は、若い世代のグラフィックデザイナーたちから高く評価されており、現代の出版界における重要人物のひとりである。
この小さな自費出版物には、黒地にエンボス加工を施したダストジャケットが付属。右側の各ページには、活版印刷技術によって刷られたさまざまな色の長方形が配置されており、それぞれがHuberが長年にわたって一緒に仕事をしてきた人への言及になっている。彼らの名前は巻末のインデックスに記載されているが、有名なクライアントの仰々しいリストとは正反対で、コラボレーションへの愛を宣言しているよう。
Huberの印刷にかけた情熱と技術、そしてそれらを生み出すきっかけとなった出会いのすべてがまとめられた本書。薄い紙からにじみ出る色彩は、デザインステートメントとして読むことができ、 彼にプロジェクトと挑戦をもたらした一人一人への敬意を表している。


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