Basketball & Kool-Aid

David Hammonsはイタリアで展開した芸術運動「アルテ・ポーヴェラ（ 貧しい芸術）」に対する素材への関心とマルセル・デュシャンのコンセプトに対する考察を経て、素材・イメージ・物質・言語の文化的かつ社会的背景を探るべく日常生活でみられる儚い物質を流用するアーティスト。本書は1995年から2012年にかけて制作された2つのシリーズ「BASKETBALL」と「KOOL-AID」にスポットを当てた作品集。Hammonsの多面的な作品群から一貫して見られるのは、アメリカにおける人種的なステレオタイプや偏見、そしてアイデンティティへの追及。本書に収録する二作品では、人種の構造やアフリカ系アメリカ人の経験や文化に結びついた固定概念について掘り下げている。前衛的な手法と型破りな素材を用いた抽象的な構成を取り入れ、自身の探究を説得力ある作品へと昇華させていることが見て取れる一冊。

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