MODIGLIANI Unmasked

Amedeo Modiglianiの作品集。20世紀を代表する芸術家である Modiglianiは、特に後期の絵画と彫刻によって近代的な肖像画に革命をもたらしたことで知られるが、本書はこれまでほとんど出版されてこなかった初期のドローイングを中心に、引き延ばされた顔や体、優美な曲線を特徴とする独自の作風を確立したその芸術的感性と自身の関心を明らかにしている。パリで活動するイタリア系ユダヤ人として、自らをアウトサイダーとみなした初期のドローイングには社会において民族と人種が果たしている役割を強く意識していることが窺われる。共著者のMason Kleinは、これらのドローイングを作品全体の一部として読み解くことでModiglianiのアイデンティティへのこだわりがいかにして現代的な肖像画の再構築に繋がったかを解き明かし、最終的にアイデンティティを国境や文化的な境界を越えたものとして考えるようになったと論じている。
親友で最初のパトロンであるDr. Paul Alexandreが収集した絵画と100点を超えるドローイングを収録し、初期のドローイングについての興味深い分析が提示されている一冊。

TAG：Amedeo Modigliani,The Jewish Museum,Yale University Press