Sunset

自身の生まれ育った沖縄で撮影を続ける写真家・石川竜一が、海を越えて韓国の首都・ソウルの東部に位置する聖水洞（ソンスドン）を訪れ、夕刻の2時間だけこの地域にある一つのレンガ壁を背景に、そこを行き交う人々の姿を捉えた一冊。 この撮影地である聖水洞はかつて工場地帯であったが、既存の倉庫などの建物を生かした再開発が功を奏して最先端のファッションや文化の発信地へと変貌。最新の流行を逃すまいと若者を中心に多くの人々が訪れる話題のスポットである。 本作において石川はアメリカで1930年代から70年代にかけて活躍した写真家・Walker Evans（ウォーカー・エヴァンス）が1946年にアメリカ中西部の都市・デトロイトで労働者の姿を捉えたシリーズ「Labor Anonymous」に敬意を示したオマージュで撮影に取り組んでおり、沢山のショッパーを携えた女性や韓国の最先端のファッションを装った若者をはじめ、軍服の兵隊に老人、そして子どもと道行く人々の姿を記録することで現代の韓国の経済を動かす様々な消費者の姿を明らかにした。巻末には石川自身によるあとがきも合わせて収録。 この消費社会の様相は現代を生きる私たちにとって他人事ではないことが示唆されている。

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