And Into The Forest I Go

音楽グループ『The Pinker Tones』のメンバーであり、写真家としても活動を行う Alex Llovet が、10年以上にわたって自宅周辺の森を中心に撮影したものをまとめた作品集。スペイン・バルセロナには都市の中心部から程近い場所に世界有数の都市周辺公園『Parc de Collserola』を有する Collserola山脈が広がっており、ここでは人の手が加えられていない原始的な自然環境が残っていることから、しばしば都会の喧騒を離れられるレジャースポットとして、さらに人間社会から距離を置ける場所としてもひとりになりたい人々からも〈避難所〉として重宝されてきた。作者はそんなCollserola山脈の一角にある20世紀中頃に入植者らが新たな土地を求めて開拓した場所で現在暮らしており、周囲には手付かずの自然が残っているおかげで都市からそう遠くない距離でありながら人間社会からは隔絶された環境下に身を置くことができる。そうした背景から、作者の他にも様々な理由でこの地に惹かれた住民が暮らしており、本書では森の中で撮影された作品とともに住民のポートレートも織り交ぜて収録されている。ありのままを写すドキュメンタリーの手法を基調に、作者を特徴付ける詩的かつ概念的な表現を取り入れることでその独自の眼差しが光る一冊。

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